「Kiss my ass」と聞くと、怒って相手を突き放すような言葉…という印象が強いかもしれません。
ですが実は、文脈によっては「おべっかを使う」「媚びる」といった意味でも使われることがあります。
今回の記事では、英語表現としての “kiss my ass” の多義性と、「機嫌を取る」「ゴマをする」といったニュアンスに焦点を当てて解説します。
アメリカのトランプ大統領が発動した、各国を対象にした「相互関税」措置が大きなニュースになっています。
これを受けて、各国がアメリカとの交渉に乗り出しているという以下のCNNの記事。

上記ニュースのタイトルにある
“kissing my ass”
の “ass” とは「お尻」を下品に表す言葉です。つまり「ケツ」w
直訳すると「私のお尻にキスしろ」という、やや乱暴な言葉になります。
え?「私のお尻にキス」??
もっと直訳すると、「オレのケツにキスしている」!?
一体どういう意味でしょう?意に沿って訳すと以下のようになります。
Trump claims nations “kissing my ass” to negotiate tariffs.
トランプ大統領は、各国が関税交渉をしようと「私におべっかを使っている」と主張。
ここでの注目は以下のイディオムです。
“kiss someone’s ass” = 「おべっかを使う」
これは日本語の「尻尾を振る」「ゴマをする」などに近い表現です。
お尻という他人であれば触りたくもない箇所にキスをする、つまり自分に利益を得るために人にお世辞を言ったり、ごますり、こびへつらったりする、相手の注意や好意を得るために、やりすぎなほど持ち上げる、という意味合いがあります。
そんなインパクト大のイディオムですが、日常生活でもよく使われます。
——————————–
【例文】
He has been kissing his boss’s ass to get a promotion.
彼は昇進するために上司に媚びへつらってきた。
Stop kissing her ass just to get that promotion.
昇進したいがために彼女にゴマをするのはやめなさい。
——————————–
頻出イディオムではありますが「ass」はお下品な言葉だけに、状況には十分注意して使いましょう。
この「おべっか」的なニュアンスを持つ表現は他にもあります。
表現 | 日本語訳 | ニュアンス |
---|---|---|
brown-nose | ゴマをする | やや皮肉・ネガティブな表現 |
suck up to someone | ご機嫌を取る | 若干軽めだが同様の意味 |
flatter | お世辞を言う | 丁寧・社交的な言い方にも使える |
butter someone up | おだてる | 軽いお世辞の意味合いでややカジュアル |
お尻つながりで、ちなみに、「asshole」は文字通り「お尻(ass) の穴 (hole) 」となるのですが、これは実際のお尻の穴というよりは、「嫌なヤツ」「最低野郎」という意味で頻繁に使われます。
——————————–
【例文】
Stop being such an asshole and help me with my work.
そんな嫌な奴にならないで、私の仕事を手伝ってくれよ。
——————————–
では「ass」がお下品だというなら、「お尻」は通常日常会話で何と呼ばれるかというと、”butt” や “Booty” です。
——————————–
【例文】
My butt was so sore after today’s workout.
今日のトレーニングの後、お尻がとても筋肉痛になりました。
——————————–
このように「お尻」一語といえど、色々奥深いですねw
同じ単語でも、前後の文脈や主語が変わるだけで意味がガラッと変わるのが英語の面白いところです。
この「ass」を使ったイディオムは他にもたくさんありますので、また追々ご紹介いたします!
最後に、まさに今回の話題にぴったりなステッカーを見つけました!これはリベラルへ向けたものではありますが、何でもすぐビジネスにしてしまうアメリカ、さすが笑
